中国共産党員は、どうやって資産を香港に移すのか

今までの話で、「薄熙来の事件以降海外の蓄財が注視され、香港でも梁振英の指示で中国本土からの人と、金の流れにメスがはいっている」について言及した。

そもそも、中華人民共和国から香港特別行政区への金の流れはどうなっているのか。
すでに、 中国から香港には、賄賂を源泉とする莫大なアングラマネーの流れがあること、そして香港から中国国内へは 非正規投資の大きな資金流入があることを説明した。その金はどこに向かうのか。実はどちらも不動産投資に回る。

その前に中国国内の不動産開発と香港への移民について説明する。
中国国内の不動産は、不動産業者(デベロッパー)、建設業者(ゼネコン)と行政が一体となって開発している。土地は行政が提供し、デベロッパーが金を出し、ゼネコンが建設、デベロッパーが販売する。

土地の足りない都市では行政が強いが 地方小都市では、デベロッパーが強い。デベロッパーは開発に最適な物件を要求し、行政がその土地を 補償金を与えて農民から取り上げる。

土地を取り上げられた農民には、補償金が与えられるだけで、農業をする土地は与えられない。こうなると都市に流入して、都市に移動できる身分証明書を作ってもらって労働者(農民工)になるしかない。

最近は農民が、開発後のマンションの値段を知るようになった結果、土地の補償金が不十分だと感じるようになった。そこで、行政と農民の衝突がしばしば起きる。時にはデベロッパーやゼネコンがヤクザを連れてきて排除する。

排除された農民は中央政府に直訴に行く。行政は 農民が直訴に行くと困るので、対抗して警察を派遣、北京で拘束する。あるいは、身分証明書を取り上げる(取り上げられると、飛行機、長距離列車には、乗れない)。

農民は それに対抗して 農民は飛行機のオーバーヘッドコンパートメントに隠れたり、人の身分証明書を使って列車に乗ったりして北京に向かう。飛行機着陸時にオーバーヘッドコンパートメントが落下、中から人が出てくる、なんてこともあるそうだ。もちろん、違法だからすぐ逮捕される。当たり前だがチケットを持っていない者は普通飛行機には入れない。おそらく航空会社のグランドクルーが協力していると想像できる。地方では、同情する声が多いのだろう

こうして無理やり開発したマンションは、大都市ではすぐ完売するが、地方では半分以上売れ残ることも珍しくない。それでもデベロッパーもつぶれないし、建設業者もつぶれない。なぜなら、行政は マンションの価格に比べたらただの様な価格で巻き上げた土地だから(広州郊外の通勤圏で マンションは平米当たり3-4万元から販売しているが、土地は1ムー(400平米) 5-10万元ぐらいで行政に巻き上げられる。) マンションが売れるまでデベロッパーは行政側に土地代金の支払いをまってもらう。建設会社は、建材、賃金の支払いを延ばして、いくらでも時間は使えるようになっている。

デベロッパーと建築業者は賄賂として (共産党から派遣されている)行政の担当者や行政の長に、無償や、破格の価格でマンションを譲渡する。ところが、関係がばれてしまうから共産党員は、そこに住めない。そこでデベロッパーを通じて香港の投資家に販売する。投資家は金を香港にある仲介業者に支払ってもらい その仲介業者には香港にマンションを妻や子供、あるいは親戚の名前で購入してもらう。これでマネーロンダリングが完了する。

香港のマンションを手に入れた共産党員は、そこに自分の家族を住まわせる、あるいは、愛人を住まわせ、仲介業者に依頼して仕事についているように見せかける。 6年以上、名目だけでも職について居住すれば香港の市民権が獲得できるので、お金をだして、就業ビザを取ってもらう。愛人が 子供を生んでくれれば、その両親は居住権を得られる。たとえ国を追われたとしても、香港に逃げれば安心できる基盤ができたことになる。

その結果、香港では何が起きたか、まず不動産の高騰である。いまの香港では20平米前後のワンルーム・マンション・クラスでさえ、価格は一億円を超える。香港の庶民はまったく手が出なくなってしまった。今では香港で売り出されている高級マンションの上層階は、中国人の富豪が買占め 一人ずつ美貌の(それも大陸出身の)女性が住んでいる。新聞のインタビューには夫のプレゼントだとか、お父さんが買ってくれた、などと言うが、その名前や職業を聞くことはない。

次におきたことは香港で出産する妊婦の急増で、病床が常に一杯で香港人が出産できなくなってしまい非難囂々、あわてた香港政庁は通達を出して 両親とも中国籍の場合は出産を認めないことになったが、これが効果あったかどうかは筆者もしらない。

最近、香港では、上記のような行為に隠密で調査が入るようになっている。どこの共産党員の家族が、家の所有者か、誰が住んでいるのか、を香港政庁から調べるようになったのが、胡春華が広東省の委員会書記に就いてからである。 その引き金になったのが、おそらく、昨年10月にニューヨークタイムズによる 温家宝の親族に27億ドルに及ぶ資産があるとの報道である。こうして、共産党員が 賄賂など、アングラマネーを安心して持ち出せてマネーロンダリングできる天国の扉が  一つ閉まってしまった、ということだ。

次はどこから共産党は収入を得ているのか、について書く

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