メディア、インターネットへの締め付け

広東の新聞、新快報の陳永洲記者が 今月18日に湖南省長沙の公安に連行され、拘束されている。これに対し、新快報が一面で、釈放を要求し、「我々は優秀な弁護士とともに、法にのっとり、記者の正当な取材の権利を守る」と宣言したことを読売電子版が伝えている。
http://www.yomiuri.co.jp/world/news/20131023-OYT1T00859.htm?from=main3
http://www.nikkei.com/article/DGXNASGM24015_U3A021C1EB1000/

容疑は、商業信用の毀損(虚偽報道による)。陳永洲記者が書いた、長沙にある中連重科(コンクリート製造世界最大手の一つ)の売上と利益の水増し疑惑、不正経理疑惑を書いた15回の連載記事が容疑である。

中連という会社は 海外拠点があり、英社のパワームール社を買収、ゴールドマンサックスと共同でイタリアの同業への投資もしており、海外でも知られる。その会社に不正経理疑惑があることは会社にとってもちろん都合のいいことではないが、普通の国では 隠蔽することはさらにまずい。
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E4%B8%AD%E9%80%A3%E9%87%8D%E7%A7%91

前にも書いたが、新聞は共産党の舌と喉に喩えられ、共産党が支配している。記者職には共産党員で無いと就職できない。一方、長沙公安局に告訴した中連重科も国営企業だから、共産党支配である。違う地域の共産党間では意見が異なることもある。

以前、広東省委書記である胡春華は団派(中国共産主義青年団の出身)と書いた。彼の就任後、時をたたずして起きた、憲政賞賛した南方周末事件では、編集部を総入れ替えし、共産党宣伝部から人を送り込んだ。これに基づくと今回の新快報の 「不正経理疑惑」報道は広東省共産党が、湖南省共産党、すなわち、団派が太子党+上海閥に喧嘩を売っている。

ところが、28日にCCTV(中国中央テレビ)で、この記者が記事は誤りだったと自白を撮影したニュースがでた。新快報も同じように謝罪した。ネットでは、強迫、拷問で自白させられたという噂がでている。日本のメディアは、共産党中央が早い幕引きを企んで介入したとしている。

しかし、この逮捕で、中連重科の株は暴落した。連載自体は大して影響力がないのに、書いた記者を拘束することで、その記事が真実だと教えることになった。勿論、中連重科からの働きかけもあっただろうが、最初に動いたのは長沙の公安、なぜ中央がCCTVを動かして介入したのだろうか?

中央が早い介入を図った理由は この記事を放置したこと、が全国の記者に知れ渡ると、おそらく99%の国営企業について、同じような疑惑を暴く記事がでるということだ。そして、その殆どが正しい。国営企業は地方政府の要請や、中央政府の容認により、売り上げをごまかし、利益を水増ししている。それが彼らにとって、共産党に忠誠を示すことだからだ。

筆者の知っている自動車製造会社でも社内報では当月販売台数を水増ししていた。理由を聞くと販売が順調にいっていることにしないと、退職者が増えるし、派遣されている共産党党員の給料がさがる、と訳のわからない説明をする。そのうちに計画をこっそり修正し、年度末には辻褄を合わせる。

これは、全く別なことだが、中国への投資資金流入で不思議なことが起きた。9月の国外投資資金の流入が8月の273億元から1,264億元へと5倍近くに跳ね上がっている。今まで書いてきたように、中国では投資資金の流入を厳しく抑えており、政府が認めた投資にしかできない。海外から新たなプロジェクトへの投資が始まったという話はないし、これだけの金額だと、一つや二つの会社ではありえない。何の為、あるいは何故という疑問が残る。
http://jp.wsj.com/article/SB10001424052702304856504579150031533367264.html

もしかすると この流入資金は、政府高官が不正に国外に持ち出している金を 当局が最近の対する不正取締りを通じて圧力をかけ、国内に還流させているのかもしれない。薄熙来と周永康の金、というのがもっとも可能性が高い。周永康の金庫番が拘束されたという話を以前述べたが、おそらく周永康だけでもこれくらいの金額を左右できるだろう。周永康は不正蓄財資金を返還する代わりに無罪放免となる取引に応じた可能性がある。これだけの大資金を国内に持ち込む為には、素性について香港と中国の政府が了解しないとできない。それと関係あるかどうか不明だが、周永康の件は習近平主席直轄のチームが捜査することになった。おそらく資金の流れを追うのだろう。
http://www.epochtimes.jp/jp/2013/10/html/d91094.html

香港、シンガポール、イギリスには中国国内への直接投資を一定金額認める発表もあった。
国内では、国有企業に粉飾、GDPは、数字をごまかし、海外からは投資や、不正資金の還流を急ぐ。バブル崩壊までの時間を稼ぐ策には、積極的だ。

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