団派と太子党+上海閥のせめぎあい(2)

中国共産党の内部で、団派は腐敗、汚職の取締りを推進し、太子党+上海閥は言論統制、特にインターネットを通じた発信取り締まりを厳格化していることで、相手を追い詰めようとしている事については、前回触れた。

最近の動きでは、団派である李首相が進める上海自由貿易試験区での制限の無いインターネット空間について、中国国務院(内閣相当)が「区内のインターネット利用は制限され、特別対応はない」と発信し李首相の足元をすくった。これでは試験区に応募する企業は減る。もちろん、歴史の逆ねじを巻こうとしている太子党+上海閥にとってみれば李首相の改革は止まってくれてぜんぜん問題ないが、改革の引き金にしようとしていた李首相と団派には痛手だ。

http://www.recordchina.co.jp/group.php?groupid=77383
(この記事では、香港の中国政府寄り英字新聞が発信した内容を中国政府が即座に否定するというやり方をとっている。おそらく団派の機先を制するために太子党が行ったトリックである。

一方で、ネットや、マスコミ(新聞)を使って団派が進めているのが、元紅衛兵の懺悔だ。文化大革命のときに 紅衛兵がどれほど酷い事をしたのか、今まで明かされていない事実が深い後悔とともに語られている。これは、保守派(中国では保守は極左で、毛沢東主義者である)を信奉する大衆に対して、また文化大革命の時代に戻るべきではない、と訴えている。普通、このような政治的なメッセージは、危険なので、個人では出せない。団派のサポートが必要だ。)

http://www.epochtimes.jp/jp/2010/11/html/d93297.html

最近、保守が毛沢東主義、平たく言うと太子党+上海閥を「毛沢東語録」が再発売することで 擁護する動きがあった。その後、この動きはなくなり、政府、特に団派が阻止したようである。

また、取調べを受けているはずの周永康が母校(中国石油大学)の式典に出席したという話もある。これについては、「このことで、彼が既に安全になったと見ることはできない」。 彼の出席は他に高級幹部を伴っていない異例の露出であるとアメリカのVOAラジオ局で、中国専門家が指摘している。


しかし、外出できるということは現在取調べを行っている団体にも彼のシンパがいるということだ。周永康の拘束、取調べまでこぎつけたが、その後周永康を有罪に持っていくまで、まだ大変な道程が残っている。取調べしている党の規律委員会には団派だけでなく、太子党の連中も多い。もし適切に周永康などの政敵を除けないと、逆襲に遭い団派の基盤は危うくなる。

前駐中日本大使の丹羽氏によると、あと5年は政治局常務委員会委員のメンバーは変わらないため、太子党、上海閥の天下は続くということだ。しかし、今回の薄熙来、周永康の取調べは今までに無い高位者である。一つの可能性として、団派を蹴落とす、あるいは、賄賂を受け取らせ、あるいは、告発し 汚職に巻き込む工作などの増加、マスコミやネット、言論への統制、海外メディアを通じての攻撃、そんな場面も見えてくるだろう。一方、告発が難しくなることで、太子党と上海閥の腐敗が見えないように進行する。

もう一つの可能性として、民衆が団派を支援する直接行動だ。最近、銀行や人民解放軍、地方政府が金を引き上げ始めているため、シャドーバンキングが破綻しつつある。泣きを見ているのは庶民だ。警察は政府の味方なので、庶民は警察に露骨に反抗することも増えてきている。地域の暴動も増加している。いつコントロールできなくなるか、全くわからない。

官憲に個人的に命を懸けて逆らう人も増えてきている。北京空港爆発事件、瀋陽露天商の城管殺人事件など、怯まない人も増えている。シャドーバンキングの破綻が増えるにつれ 今後もこの動きは止まらないだろう。

シャドーバンキングに金を預けている庶民は、耕作していた土地を取り上げられた農民と、住んでいた住居を取り上げられた都市の住民だ。彼らは金が返ってこなければ無産となる。金を返してもらうためには行動を起こすしかない。

シャドーバンキングを破綻に追い込んでいるのは、李首相を中心に団派だ。銀行からの融資を止め、不動産に金が回らないようにしている。李首相は何度もコントロール可能と発言しているが、コントロール可能となるのは 地方政府と人民解放軍が、力で押さえつけるのではなく、身銭を切って庶民に金を返す時だけだ。それは、太子党と上海閥が 私財を吐き出すことを意味している。そんなことはありえない。

それらをすべて解決するには投資をさらに呼び込み、不動産を購入する人を増やすしかない。東京と同じ値段のアパートを北京で購入できる層はそれほど多くない。外国人を引き付けるしかない。そのためには投資してもらうことが唯一の手段だ。しかし、暴動などの事件が頻発すれば投資マネーは怯む。

庶民の不満を抑えるためには末端の警察官を切ってでも、この1-2年を平和に凌がないといけない。投資をしてもらうためにはそれが最低条件となる。これからしばらくは国内も国外もおとなしくする時期が訪れる可能性も高い。

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