香港について、その2

香港、マカオへの不正資金(アングラマネー)流入

香港への不正資金流入を説明する前に 中国公民の外国渡航制限を説明すると、
1.パスポートは基本 共産党員にしか発行されない。パスポート取得は共産党員の特権のひとつである。
2.共産党員以外の場合は、共産党員の推薦や、勤め先の推薦を通じて身元に問題ないこと、反中国的行動をとらないという保証を入れる
3.共産党員の知り合いがない場合は、口入れ屋にお金(数千元~2万元)を支払う。この一部は、共産党への上納金になり、残りは、共産党員への賄賂だ。
4.パスポート発行後、渡航先国のビザ取得のため さまざまな書類、(銀行預金証明、招請状/招待状、卒業証明、成績証明)を入手し、ビザ発行を経て渡航可能となる。

中国人の場合、ほとんどの国でビザが要求されるため一般人の渡航はなかなか大変である。
しかし、例外が香港とマカオで、ここには、ビザなしで、パスポートがあれば入国することができる。

誰かに知られるとまずい、地元で使えないようなお金を持っている共産党員は、そのお金を香港、マカオに持ち込む。そこには数多くの両替商があり、銀行などを通さずに香港ドル、マカオパタカに換えられることも都合がいい。おおっぴらに使えなかった金を、どうどうと使えるようになるだけでも違う。香港では 時計、宝飾、金、などが定番。政府高官がひとつ数百万円から数千万円する高級腕時計をしていることが中国のネットで話題になっている。マカオでは加えて ポーカーチップに換えて、1ゲーム500元払うテーブルで遊んでいる。垢抜けない服を着ているからすぐわかる。

口入れ屋にお金を払って、パスポートを入手した一般人にも 手軽にもうける方法がある。贅沢品でなくても、食品のように中国国内製品より、輸入の方が人気がある商品、タバコや酒、薬のように免税で安く買える商品を、香港、マカオで買って帰れば、イミグレーションのそばで買取人が、あるいは、広州や東莞、深圳の輸入食品専門店が、買い取って数百~1千元程度の利益がでる。

多額の不正資金を取得できた共産党員は、一旦不正が明るみに出れば 当然のことながら刑事訴追の対象となり金額によっては死刑にも処せられる。明るみに出る前に当局の追及が及ばない地域に逃亡したいと思うのは当たり前。そこで、さまざまな方法で、合法的に他国に入国する準備しているが、その第一歩として香港に蓄財をする、特に不動産投資をするというのが、一般的である。

それでも多額の現金、換金性の高い財産を持ち出すことはできない(*1)ので、地下銀行を用いた闇の送金が行われる。やり方は 香港ドルから元に換金したい人を香港で探し、元を中国国内で渡す、一方それに見合う香港ドルを香港で受け取るというやり方である。もちろん、この地下銀行はアメリカ、日本、カナダなどにも存在すると想像している。

政府は 元から外貨への交換は輸入の実需、政府承認の海外投資 一方、外貨から元への交換は輸出と同じく政府承認を受けた投資 となっているが、輸出超過で、かつ外国からの投資がより多く受け入れている現状では 外貨から元への交換需要が多く、元の上昇圧力は高い。 それを中央銀行が 元先高を見越した投機資金流入(*1)を防ぎ、交換レートを管理することで、押さえ込んでいる。これが欧米から人為的な通貨切り下げとみなされているのは、周知の事実。 しかし、投機資金は アングラマネーの資金流出と反対に 地下銀行を通って隠れたところで 流れ込んでいるのだ。

昨年の11月に共産党の腐敗撲滅を掲げる習近平が主席になり、12月に胡春華が広東省委書記着任してから、不正資金流出の流れが変わった。中国国内から海外に流れる不正資金が大幅に減ったのだ。次の理由で賄賂が渡せなくなった、また香港で、不動産を購入することで、不正蓄財が明るみに出てしまうケースが出てきはじめている。
1.習近平の過剰接待の禁止指示で賄賂を渡すのが難しくなった
2.薄熙来の事件以降海外の蓄財が注視され、香港でも梁振英の指示で中国本土からの人と、金の流れにメスがはいっていること。


その結果、地下銀行を通じた中国国内への送金が止まってしまう事態となったため、今度は輸出金額を大幅に水増しするやり方で、国内への投機資金流入が始まった。13年1-3月の輸出金額の大幅増加は、それが理由である。

次回は、上記の1、2については、説明する。

*1 基準は頻繁に変わるが、旅行目的などで、銀行で交換できる外貨は2万元(約30万円)、外国人で、給与・納税証明書があった場合は20万元まで

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